2012年01月

2012年01月29日

『愛国心』

「永遠のゼロ」読み終わりました。いやぁ、久しぶりに良かったです。先日も書きましたが、生きたいとずっと願っていたにもかかわらず、自ら特攻で散った主人公の祖父の足跡をたどった物語です。特攻で亡くなった人たちは、狂信的な愛国心があったような印象があり、私もそのように思っていた節がありました。あの時代、上層部に逆らうこと事態難しく、逆らっても逆らわなくてもいずれ死ぬ運命にある若者が選択するべき道は、反逆より美しい死に方とされた特攻を選ぶしかほとんど道はなかったのかもしれません。しかし、ほとんどは国家のためというより、自身への家族を救う為、生まれ育った故郷への想いを胸に抱き死なざるおえなかったようです。これは、狂信的な愛国心というより、人間として当たり前の心情のような気がします。しかし、戦争も知らない私が本当の彼らの想いをどこまで理解できるかということは、全くわかりませんが、少なくともこの本を読んで亡くなった兵士たちを思い返すいい機会にめぐり合えたような気がします。戦争に負けようが、今の日本があるのは彼らのお陰でとしか言いようがない。

永遠の0 (講談社文庫)
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私は決して右よりな人間ではないのですが、たまたま最近オーストラリアデー(オーストラリア建国記念日)を祝ってふと思うところがありました。オーストラリアでは多くの人々が国旗や国色のグリーン&ゴールドの服や小物を身につけて堂々と、しかも楽しく祝日を(まさにその字のごとく)祝うのですが(ま、アボリジニのバックグラウンドの人には喜びの日と言い難い場合も勿論ありますが、それは例外として) 、 日本は建国記念日を国を挙げて、国民ともども祝う風習はありません。単なる仕事が休めて嬉しいというだけの祝日です。これは、戦前がどうだったかは知りませんが、少なくとも戦後、胸をはって国を愛することは何故だか憚れているような気がします。愛国心を出すと、狂信的な右よりだと思われてしまう。愛国心を全く出さないか、それとも偏りすぎた愛国心をはっきり出すかどうかの両極端の二つしかない。この本を読むまで、狂信的な日本への愛国心の象徴となる人たちが、私の中ではなぜか特攻隊でした。それを想うと、今まで間違っていた自分がなんだか恥ずかしい気がします。彼らも普通の家族を愛する日本人だっただけなのです。しかし、それは国の上層部によって作られ美化されてしまった強制的な死に方のために、偏った愛国心と見られてしまったのかもしれません。そんな彼ら死を戦後の日本は見ないフリをして、自分たちは違うと心の中で否定してきたような気がします。彼らの死は海外では勿論のこと、日本の中でもかなり誤解されている部分が多い。なんとなくやるせない気持ちになります。
海外に住む日本人として、故郷の日本はとても愛おしい国です。穏やかなこの自然な気持ち、つまり愛国心を無視することなく、かといって他人の目から狂信的に映らないように普段の生活で国への愛を表現するのは、日本人にとってかなり難しい。日本が災害にあった時、オリンピックのような世界大会に日本選手が出場する時、やっと日本人としての誇りや愛国心が胸を張って出せるのですが、オーストラリアのように普段から自然に愛国心を出すのは難しいところがあります。日本人として日本への愛情をどう表現していくか、しかも外国に生活して、日本人の血を引く子供にどうやって日本への愛を伝えていくかというところが、今後の私の課題になるような気がします。

『昨日』
昨日はAnnandaleにあるGallery Cafeにて上村さんの大学時代の友人夫婦、DaveとDonaと一緒にブランチを食べました。二人ともすごく気さくで話しやすくて一安心。あんな話、こんな話をしながら私は小さなフライパンにのった目玉焼きとベーコン、チョリソをパクパク平らげ幸せ気分。最近、食べすぎ??
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上の写真は店の入り口にあるカウンターなのだけれど、このカウンター、色々な引き出しをかき集めて作ったみたいで面白いのです。実は私たちここのバリスタのお兄ちゃんを知っています。このお兄ちゃん、かなり暑いとある日、私が玄関先の枯葉を掃いていた時に車がエンコし困っていたので、上村さんの車のバッテリーで救ってあげたことがあるのです。なんかみたことある顔だなぁと思ったら、ここのバリスタのお兄ちゃんでした。車は今は良好なようです。良かった。良かった。

このあと、ベビーコットを見に行ったり、なんだかんだいって夕方になったのでNorton Palace Academy に映画を見に行きました。はい。また映画です。子供産んだら映画館どころではなくなるので今のうちに見ておこうという魂胆。うちの両親は呆れたようにまた映画かい?と言いますが、だって好きだからしょうがありません。
見た映画はこれまた希望通りの『Tinker tailor soldier spy(裏切りのサーカス)』です。いやぁ、すっごい難しかったけれど、多分半分も理解できたか分からないけれど、良かった。これ、私の英語力で分からないというのではなく、私の知り合いのネイティブの人(3人くらい。しかもみんな頭のいい人。)でも、理解するのに難しいほど混みいった話なのです。でも、何しろいい映画だというのはよく分かる。なんか上手く描かれている。しかも役者がいい。ゲイリー・オールドマンは前から好きでかなりの技量を持った役者だけれど、脇を固める人もいい。前からずっと注目して、まだそんなにハリウッドの映画界では知られていないイギリス人のベネディクト・カンバーバッチ (Benedict Cumberbatch)も出演してます。この人を見たのは「To the Ends of the Earth」(1812年、イギリスからオーストラリアに向かう船での生活を描いた作品)というミニTVシリーズが最初でかっこよいわけではないのに、演技が上手からなのかもしれませんが、目が離せない役者になりました。マーク・ストロング、ジョン・ハート、コリン・ファース。。。みんな良かったですね。たぶん、本を読むか、3回くらい見たら分かるかな。


ゲイリー・オールドマンはアカデミー賞、主演男優賞にノミネートされていますが、この作品で獲れるかどうか難しいところ。もちろん、すごい良いのですが、今までだってすごい上手いので、この作品でとりわけて素晴らしいという感じもしません。淡々と無感情なスパイが突然感情的になるシーンは迫力があるので、主演にノミネートされた決定打はあの演技だろうなぁとも思います。もちろん、地味な役者さんなので、すごい獲ってほしいのですが、彼の技量は脇役として最も発揮されるような気がするのは私だけ?私自身、脇役として演じるのが好きで、脇役ってすごい面白くてかなりテクニカルな部分、難しいところがあるので、主演でより助演男優賞でゲイリー・オールドマンが獲れたらもっと嬉しいです。脇役崇拝の私。でも、世間の目はどうしても脇役はグレード低いと思われてしまうんだろうな。
まだ他の俳優さんの主演男優にノミネートされている「The Artist」も見てないのでなんとも言えないですが。。。男性陣の賞の判断は今回難しいなぁ。







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